eラーニングシステムを導入する際に注意するべきポイントとは?
eラーニングとは、パソコンやスマートフォンを使い、場所や時間を選ばずインターネット上で学ぶことのできるシステムのことです。こちらの記事では、eラーニングシステムの仕組み、メリットとデメリット、導入する際に注意するべきポイントを紹介します。チェックしてみてください。
eラーニングシステムの仕組み
eラーニングシステムは、インターネット上で受講できる学習教材と、学習履歴やテストの成績などの管理ができるシステム(LMS)を組み合わせたものが一般的です。講師が集合研修を実施したり、受講状況をエクセル管理したりする場合と比べて、教育にかかるリソースを大幅に削減できます。
インターネットを活用するので、受講にはパソコンやスマートフォンといったデバイスが必要です。企業によっては、従業員にスマートフォンやタブレットの貸与を行うケースもあります。
学習教材には音声のみのもの、講義の映像、アニメーション、パワーポイントなどがあり、これらを組み合わせて利用するケースもあります。学習コンテンツは自社でオリジナルのコンテンツを制作することも、外部で用意されたコンテンツを利用することもできるようです。
学習コンテンツの国際標準規格をSCORM(スコーム)といいます。規定に沿ってコンテンツを制作することで、アクセシビリティ、再利用、互換性などを実現します。
学習プロセスの中でテストを実施したりレポートを提出したりできるのです。結果やフィードバックの内容はデータとしてシステム内に蓄積できます。受講者同士がコミュニケーションをとることのできるLMSもあります。
eラーニングシステムを導入するメリット・デメリット
eラーニングは時間と場所を選ばずに受講できるのが最大のメリットです。受講者は自分の好きなタイミングで学ぶことができるうえ、企業側は研修にかかるリソースを大幅に削減できます。
たとえば集合研修の場合、一度に研修できる人数を100人としても1,000人に研修を受けさせるには10回同じ研修を行う必要があります。eラーニングであれば一つの学習コンテンツを数千人、数万人に受講してもらうことも可能です。
集合研修を行う際に必要だった講師と受講者のスケジュール調整や会場の準備、教材の印刷、会場への移動にかかる時間や交通費も不要です。集合研修でかかっていた時間、労力、経費などのコストを大幅に削減できるのはeラーニングの大きな魅力です。eラーニングは集合研修と比べて教育コストが約4分の1になるといわれています。
また、集合研修は受講者が体調不良などで参加できなかったときの対応も難しいですが、eラーニングであればそういった心配もありません。eラーニングでは「研修を担当する講師によって内容が異なる」といったことがなく教育内容を統一でき、従業員の知識レベルを均一にすることもできます。
学習コンテンツが統一されていると、修正や変更もシステムを修正すれば終わりです。紙ベースの教育資料のように修正や変更に手間がかかったり、大変なので後回しにして忘れてしまったりするという心配もありません。
eラーニングはいつでもどこでも受講できるというメリットがある反面、モチベーションの維持が困難で受講の継続が難しいというデメリットもあります。eラーニングを導入する場合は、コンテンツを気軽に受講できる長さにしたり、評価制度と連動させたりするといった、モチベーションを維持させる仕組みの構築も必要となることを覚えておくといいでしょう。
また、eラーニングはその場で質疑応答ができないためチューターやアドバイザーを用意したり、質問用の掲示板を活用したりするといったフォローアップ体制も用意しておく必要があります。eラーニングでは受講者同士の交流がうまれないため、社内のネットワーク作りや一体感の醸成にはつながりません。これらを補完する機会を別で用意するといった工夫も必要です。
eラーニングシステムを導入する際に注意するべきポイント
eラーニングを導入する際の注意点として、「すべての教育をeラーニングに置き換えられるわけではない」という認識をもっておくことが重要です。たとえば、ディスカッションやロールプレイといった応用や実技のトレーニングには、集合研修のほうが向いています。自動車の教習でも座学はeラーニングに置き換えることができますが、実際に車を運転する教育を行うことはできないのと同じです。
集合研修とeラーニングを組み合わせた教育手法は「ブレンディング」と呼ばれています。教育をやみくもにeラーニングに切り替えるのではなく、自社の教育のどの部分がeラーニングに適しているか検討したうえで導入するのが、eラーニングを効果的に利用するうえで重要です。
eラーニングには、企業にとっても従業員にとってもメリットの大きい教育手法です。ただメリットだけでなくデメリットもあるので、デメリットについてもしっかり認識したうえで、それを補完できるよう集合研修やフォローアップ、評価といった仕組みを用意しておくことがeラーニング導入を成功させるポイントです。こちらで紹介した内容も参考に、自社に適した形でeラーニング導入の準備を進めてみてください。